31DAYS
その場その場での礼拝行為,限りない困苦労力,自己犠牲。
針を打ち込んでは抜き取り、また打ち込んでいく。
そんな繰り返しの果てに蜂の巣状態になった頭から、大事な何かが次々とこぼれていくような感覚。
宇宙の果てを確認するためには、その場所にたどり着けさえすればいいのですが、そうは言ってもそんなところまでは到底たどりけません。
それでも彼はめげず、ネパールで描き上げた絵画の前で礼拝を続けています。
いつも下ろしたての白いシャツを身に纏い、ベルトは極限まで締め上げ、少し薄くなった髪に鏡の前で一櫛入れると、優しい吐息交じりのため息をつき、前方を見つめ直します。
絵画は必ず毎月1日に掛け直し、月末にはその絵を一旦桐箱に愛おしそうにしまいます。
そしてまた翌日、新しい月に挨拶をかわすかの様に同じ絵画を取り出すのです。